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CREATORS EYE

Vol 15
2015.05.15

フレンチリネンとトワル・ドゥ・ジュイ

季節が夏に近づくと、やはり心地よい素材が着たくなるもの。
リネンは上質で肌触りの良い“フレンチリネン”にこだわりたい。
夏の日差しの下でプリントアイテムも楽しみたいけれど、ありきたりのものよりもちょっと差をつけるならどこか懐かしいフランスの伝統的な“トワル・ドゥ・ジュイ”がおすすめ。
5月『ビアズリー』の店頭は、“フレンチリネンとトワル・ドゥ・ジュイ”をテーマに展開。今回は『ビアズリー』デザイナーのお二人に素材やプリントのお話をお聞きしました。

フレンチリネンの特徴<加藤>

Q:フレンチリネンの特徴や魅力を教えてください。

加藤:リネン全般に言えることとすれば吸水性に優れ速乾性もあるので、汗をかいてもすぐ乾きさらっとした着心地や肌触りが良いことがあげられます。湿気の多い日本の春から盛夏にむけてとてもふさわしい素材です。

そのリネンの中でもフランス北部で栽培された麻が“フレンチリネン”です。フランス北部は涼しい気候と豊富な水に恵まれており、最上級のリネンの生産に適しているのです。世界の80%のリネンがアイリッシュやベルギーなどヨーロッパで生産されていますが、そのうちの約8割がフランスの北部で作られています。

植物としても強いので農薬が必要なく、本当の意味でオーガニックであることも特徴のひとつです。

『ビアズリー』でもリネンはこの時期毎年人気ですが、今年は特に春夏全体のテーマが【フランスマニア】ということで、通常よりも“フレンチリネン”を多く扱っています。是非店頭で手に取って、その風合いを確かめてください。

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素材が丈夫でキッチンアイテムなどにも適するところもリネンの魅力

Q:リネンを取り入れたおすすめの着こなしは?

加藤:とにかく気負わず着ていただきたいです。

家で気軽に洗濯ができるとことも特徴の1つですし、アイロンなどかけずにそのまま“しわ“をいかしてカジュアルにリラックスして着て欲しいですね。“しわ“もまた味、着る方の個性も”しわ“に出てくると感じます。そこも楽しんで欲しい。

ジャストサイズのものよりも、少しオーバーサイズのものを選ぶのがおススメです。肌触りの良い素材にたっぷり空気を含ませて、気分よく着ることもリネンらしさではないでしょうか?

 リネンの扱い方<加藤>

Q:リネンの扱い方・自宅でのお洗濯方法などを教えて下さい。

加藤:リネンはとにかく取り扱いが楽なのが特徴の1つです。

『ビアズリー』で扱うほとんどのアイテムもご自宅で洗えます。(※一部適応しないアイテムもあります)洗うたび、着こなすたびに、風合い良く味がでてくるのも魅力です。

最初は洗濯の際に若干縮む可能性がありますが、干すときに濡れている状態で伸ばしながら整えると縮みを防ぐことができます。

また『ビアズリー』のリネンアイテムのほとんどは、一度洗いをかけています。最初から風合いのある雰囲気を楽しんでいただきたいのと、縮みを多少でも防げるようにといったブランドの思いからです。

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リネンの魅力はその風合いや取り扱いやすさ
カジュアルに楽しみたい

トワル・ドゥ・ジュイとは?<菅原>

Q:トワル・ドゥ・ジュイとはどのような生地のことか教えてください。

菅原:18世紀のフランスで生まれた伝統的なデザイン・生地のことで、かのマリー・アントワネットも愛し誕生から200年以上たった今でもヨーロッパにとどまらず世界中にファンが多くいることでも有名です。“人物”“田園風景”“天使”“草花”などそのデザインは豊富で、フランスのインテリアなどにも多く取り入れられています。

今期『ビアズリー』の春夏のテーマが【フランスマニア】ですので、今回このフランスを代表するプリントにクローズUPして2種のバリエーションを揃えました。風景や動物をモチーフとしたプリントでパンツを、花柄をメインにしたプリントでワンピースを作っています。

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200年以上の歴史がある伝統的なモチーフを今の気分にアレンジ

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“トワル・ドゥ・ジュイ”は2色もしくは多くても3色で
構成される

 Q:トワル・ドゥ・ジュイを取り入れたおしゃれを教えてください。

菅原:パンツにはリネンシャツなどを合わせて、リラックス感のあるコーディネートを楽しんでいただきたいです。プリントは伝統的なイメージですが、キッチリとではなくあえてラフな感じでカジュアルにさりげなく取り入れてみるのはいかがでしょうか?

ワンピースはシンプルでゆったりとしたシルエットで前後ともに着ることが可能です。ワンピースとして下にリネンのパギンスを合わせ、ぺったんこのフラットシューズやかごバックなどの小物で 思いきりフレンチシックに着るもの良いですし、ボタンのある方を前にして羽織物のように着崩すのも おススメです。

着用しない時は、ハンガーにかけてストローハットなどを合わせてお部屋に飾っていただくと、ちょっとしたインテリアのアクセントにもなりそうです。

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“トワル・ドゥ・ジュイ”のパンツにはリネンのシャツを軽く合わせるのがおススメ

プリントの楽しみ<菅原>

Q:プリントアイテムの魅力を教えてください。

菅原:『ビアズリー』では毎シーズンテーマに合わせたモチーフのプリントが登場します。

ボタニカル的なフラワープリントや野菜のプリントなど、トレンドばかりではなく気分が楽しくなるパリのエスプリ感が味わえるようなプリントを毎回提案しています。

プリントの使い方も全面だけでなく、バックやサイドスタイル部分だけに用いたり、裏地などに使ったりと遊び心のあるポイント使いなどで楽しめるアイテムも豊富に揃います。

お店にいけば必ず何かしら楽しいプリントがあると、毎回チェックしてくださるお客様もいらっしゃいます。

 

こだわりの1品

Q:仕事の時に大切にしているモノや毎日取り入れているモノがあれば教えてください。

加藤:いつもデスクのまわりに置いているアンティークの小物です。フランスの蚤の市で見つけたものや、日本で手に入れたものもあります。

真鍮のアイテムは使うほど味がでてくるところが好きで、時間がたつほど自分らしい1品になってくる気がしています。

仕事の場であるデスクに置くことで実用的に使っていますが、近くにあるとなんとなく気持ちが落ち着き自分らしく過ごすことができるところが気に入っています。

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真鍮のカードケースやマグネット、
ペンなどは日々のデスク周りで活用している

菅原:仕事でパリ出張へ行くこともあるのですが、行けるときには蚤の市に足をのばしその度にアンティークレースを探すのが1つの楽しみになっています。

繊細で味があり現在の服作りの際使用するレースでは、なかなかだせない雰囲気があります。

少しでも良いものに触れてそこを目指す気持ちを持ち続けたくて、アイディアだしの時にもその美しさを何度も見直してイメージを膨らませたりすることもあるのです。

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いつかはアンティークレースのような
味のあるレースに近づけたい

かわらぬ気持

Q:仕事や日常でこだわっていることを教えてください。

加藤:『ビアズリー』の企画として洋服を作るときに心がけていることとして、「雰囲気のあるものになること」にこだわっています。

日本での物作りは流通上色々と制約があり、どうしてもヨーロッパなどで出会う洋服との違い、既製品特有のキッチリした感じがでてしまうのですが、『ビアズリー』はパリテイストのブランドですので少しでもアンティーク的なこなれた感じがだせるよう、洗いや加工などで雰囲気がだせるようにイメージを膨らませてモノ作りと向き合っています。

最初から手に馴染むような雰囲気のあるものに… お客様にとってその服と出会いの時から特別な1点になるように、こだわり続けていたい気持ちです。

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“雰囲気のあるもの”にこだりブランドらしさを追求

菅原:子供の頃よく母親が手作りで洋服を作ってくれることがありました。「こんなのが欲しい!」と伝えるとその希望に合わせた服を作ってくれて、本当に嬉しかったことを 覚えています。

自分自身が洋服を作る立場になって思うことは、お客様が『ビアズリー』の洋服に出会うことで 少しでも喜びを感じてくださったり、幸せな気持ちを味わっていただけたりすることをイメージしながら 服を大切に作っていきたいということです。

試着してみたらすごく似合っていた!とか、明日これ着てどこへ行こう?とウキウキしたりわくわくしたりする気持ちのお手伝いを少しでもできるよう、こだわりをもって服作りを楽しんでいたいです。

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喜びを感じてもらえる服作りを

加藤智一 / BEARDSLEY デザイナー

2005年入社。2006年にBEARDSLEYのデザイナーとして着任。アンティークスカーフを使った1点ものやひとつひとつデザインが異なるボタンを使ったアイテムなど手の込んだ洋服をデザイン。毎シーズン素材やデザインを変えて登場するチュール付きキャミソールがセットになった「チュチュニット」はブランドの定番。

菅原小百合 / BEARDSLEY デザイナー

2011年BEARDSLEYのデザイナーとして着任。ブランドコンセプトを象徴する“刺繍”や“コサージュ”をはじめ、シーズンコンセプトを表現するプリントアイテムを得意とする。さりげないデザインの中に、女性ならではの遊び心を取り入れて表現。

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