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Q:まずはブランドをスタートさせたお話をお聞かせください。
アパレルの企業で9年間デザイナーとして働いた後、パートナーが独立を望んだこともありブランドを立ち上げました。
あっという間にブランドを立ち上げて12年がたちます。企業にいるときはSHOPの意見などを中心にモノ作りをしていたので、自分自身ですべて納得していないところもありましたが、今はお客さまの声を自分でお聞きすることができるので、良い関係性でデザインを楽しむことができているのだと思います。
ブランド名にもした【THiSTLE】はアザミの花の意味で、スコットランドの国花なんですけれど花の持つ生命力に魅力を感じてブランド名にしました。現在は【BEARDSLEY】をはじめセレクトSHOPなどで取扱いをしていただいています。
ブランドを立ち上げたばかりの時にブランドの
イメージで作ったネックレス
ブランド名にもなっているアザミのディテールが美しい
アンティークブローチ
Q:どのような物・事からデザインのインスピレーションが生まれますか?
日常の生活の中で感じたことをデザインにもいかしています。新聞で読んだ記事の中にある言葉や目にする世の中でおきていることなど…。
具体的に言うと最近新聞の中に“レボリューション(革命)よりリノベーション(改善)”というフレーズにはっとさせられたりしました。
今を感じることでそれをデザインにどういかすか、自分での中で一度消化してアレンジします。
植物も大好きでお花などからインスピレーションを感じることもあります。展示会でもかならずお花を飾るのですが、その時の気分でとてもカラフルだったりシンプルだったり。今はあまり色をつかわずに白とグリーンだけのシンプルなアレンジが気に入っています。
日常の中で感動した言葉やニュースからアイディアが
生まれる
ショールームに飾られた様々な種類の植物。グリーンや
ホワイトが今の気分
Q:心地よく過ごすための生活へのこだわりなどをお教えてください。
“好き”だと思うことをたくさんすることです。趣味は意外と野外でやることも好きなんです。
先ほどもあげた植物栽培は趣味のひとつでもあり、イングリッシュガーデンにあこがれています。家から運んだアトリエにある観葉植物の中には、鉢替えを繰り返して育てた20年のつきあいになる物もあります。
気に入った物を自分のまわりに置くことで心地よい時間がすごせるので、今は自宅より長く過ごすアトリエに植物たちも運んできました。
アトリエに飾られている植物は20年の間、所有している
ものも
Q:インテリア・お料理など生活の中でご興味を持っていることをお聞かせ下さい
インテリアは気に入った物を長く使いたいと思っています。アトリエのソファーもその一つです。
観葉植物たちもそうですが、このソファーも、家で使っていたものを長く時間を過ごすアトリエに移して自分らしく過ごすことを楽しんでいます。
日々の食事はまず季節の物をいただくことにこだわっています。春先ですと“菜の花の辛し和え”、梅雨時期でしたら“ちりめん山椒”。“山椒の実”が手に入るわずかな時期に自分好みの味付けにしたいので手作りしています。その時期でないと手に入りづらい季節の物は、昔から体にも良いとされていますから、目でも楽しみながら身体も喜びを感じているのだと思ってるんです。
美味しくいただくためには、食器にもこだわりたいですね。私は形や色が気に入った物をまずは購入して何を入れたら美味しく見えるかは、家に帰ってから考えます。その時間もまた至福の時です。
Q:海外などにもお仕事などで行かれることも多いかと思いますがどんなライフスタイルにあこがれますか?
グリーンに囲まれた生活は素敵だと思います。“家と植物の調和”というのでしょうか? “家”だけが素敵でもそれだけではさびしく、そこにぴったりにあしらわれた“植物”があることで完成する という考え方です。
中庭のある家なども憧れます。
Q:インテリアなどに興味をもっている国などありますでしょうか?
元々アンティークや植物が好きなので、やっぱりイギリスですね。ヨーロッパでも一番好きな国です。
このソファーもそうですが、ブリティシュグリーンで形もカッチリした印象なところも、気に入っています。伝統的で正統派なところが魅力的です。もちろんイングリッシュガーデンにも興味を持っています。
大好きなイングリッシュガーデンの本は時間を忘れて
眺めていられる
Q:仕事の時に大切にしているモノや毎日取り入れているモノがあれば教えてください。
ロンドンの蚤の市でみつけたアンティークの裁縫道具は日常的にも使っているお気に入りです。ネジ部分など古いものなのでもちろん同じパーツはさがせないのですが、代用品をみつけてでもメンテナンスして大切に使っています。
インテリアもそうですが、気にいった物を長く使いたい気持ちは、仕事で使う道具であっても大切にしたいと思っています。お気に入りに囲まれて過ごす時間が、何よりも自分の時間を大切にできることだと感じています。
メンテナンスして大切に使っているルレット
ロンドンでみつけたアンティークの裁縫道具は
日常的にも使っている
Q:仕事や日常でこだわっていることを教えてください。
学生のころからファッションが載っている雑誌が大好きで、ページをめくるたびに心が躍る気持ちでした。そして何年たっても、やっぱり“ファッション”が好きなんです。今も素晴らしい写真集を眺めていると心が躍る気持ちになります。たとえば、ニューヨークのおしゃれ上級者60~100歳の女性がいくつになってもファッションを楽しむスナップが話題となった「ADVANCED STYLE」やバレンシアガの初期から晩年の作品が見られる写真集など…。時代が変わっても色褪せないファッションが持つ力に心が動かされるのです。服作りをしているとアイディアが浮かばなくて落ち込むこともあるのですが、街で自分が好きだと思える服に出会えた時や素敵なアンティークドレスを見た時などに気持ちが“キュン!”となります。自分の作る服を見て誰かがそんな風に感じていたら嬉しいなとも思います。
スポーツを見た時の感動も素晴らしいけれど、それとはまた違った心躍る瞬間を“ファッション”を通して、これからも何度でも感じたいと思うのです。
ファッションでしか味わえない心躍る瞬間を大切に
したい
英国アンティーク及びヴィンテージクローズ、コスチュームジュエリーを敬愛するデザイナー横田ヒロミの美意識を表現したブランド。ブランド名の「THiSTLE」は薊(アザミ)の英名。薊のように、繊細な可憐さの中に強さを秘めたアイテムを展開。